三菱UFJ証券、情報流出のお詫びは1万円

三菱UFJ証券、情報流出のお詫びは1万円

 三菱UFJ証券の元部長代理が約5万人分の顧客情報を名簿業者に不正に売った問題で、同社は19日、被害者全員に1人あたり一律1万円の慰謝料を商品券で支払う方針を決めた。弁護士らと相談して金額を決めたという。支払総額は約5億円。20日に発表し、被害者に通知を始める。

 名簿業者に売られた名前、電話番号、年収水準といった情報は、転売などで約100社の手に渡ったことが確認されたという。深夜まで電話で投資用マンションや先物商品の購入の勧誘を受けるなどの被害が相次いだ。

 流出先で情報利用の停止を約束したのは70〜80社。三菱UFJは一部業者には名簿購入費の実費弁済も始めた模様だ。だが、情報の完全な回収は事実上不可能とみられる。

 過去の個人情報流出では、04年にインターネット接続サービス「ヤフーBB」の顧客名や住所など約650万人分が流出した事件で、運営するソフトバンクBBが1人あたり500円の慰謝料を払った。だが、その後の裁判では、被害者の原告5人に1人あたり5500円を支払うよう同社などが命じられた。

 エステティックサロン大手TBCの個人情報流出をめぐる訴訟では07年、身体のデータが含まれていたため、1人あたり最大3万5千円の慰謝料支払いが命じられている。

 今回の問題は、三菱UFJの元部長代理=発覚後に懲戒解雇=が今年2月、全顧客約148万人分の個人情報を持ち出し、このうち昨秋以降に口座を新設した約4万9千人について名簿業者3社に計32万8千円で売却した。発覚から1週間で7千件以上の苦情や問い合わせがあった。