計算で他人のカード番号割り出す「クレジットマスター」初摘発へ

計算で他人のカード番号割り出す「クレジットマスター」初摘発へ

クレジットカード番号に計算を施し、別のカード番号を割り出す「クレジットマスター」で得た番号を使い、不正にネットで商品を購入した男を警視庁が摘発へ。

カード番号に特殊な計算を施し、ほかのカード番号を割り出す「クレジットマスター」という手口を使って、不正にインターネットで商品を購入していたとして、警視庁は6日、窃盗の疑いなどで大阪市内の無職の男(45)の逮捕状を7日に取る方針を固めた。捜査関係者によると、クレジットマスターによるカード犯罪の摘発は全国初だという。こうした手口はカード会社などで問題となっており、被害防止に向けて抜本的な対策を迫られそうだ。

 カード会社関係者や捜査関係者によると、クレジットマスターは、実際のカード番号に複雑な計算を加え、他人のカード番号を割り出す手口。ネットには、カード番号と有効期限を登録すれば買い物ができる通販サイトがあり、この手口で不正に入手した番号を打ち込むと、実在のカード番号に当たる可能性がある。有効期限は元のカードの期限がそのまま該当する場合がある。

 中野署の調べによると、男はクレジットマスターを使って、大手カード会社の他人のカード番号を入手。平成20年7月20日、ネットで都内の通販会社から、テレビなど8点(20万円相当)を盗んだとされる。男は所在不明で、同署は覚せい剤取締法違反容疑でも逮捕状を取り、指名手配する方針。

 捜査関係者によると、男は覚醒(かくせい)剤の売買を通じて知り合った顧客らから、これまで計10枚のクレジットカードを譲り受け、クレジットマスターで68枚分のカード番号を入手。ネットで家電品など約300件、総額1千万円分以上を購入していたという。オークションサイトなどで転売して利益を得ていたとみられる。

 男の知人で共犯の無職、旭千鶴被告(20)=大阪市=は、窃盗と電磁的記録不正作出・供用の罪で既に起訴されている。



 クレジットマスター 

16けたのクレジットカード番号のうち複数のけたに、決まった数字を足し引きしていくと、特定の回数で元の番号に戻る。その過程で出てきた番号は、他人が使用しているものに該当する可能性があるという。カード番号の並びの規則性を悪用した方法。こうした計算を瞬時に行う自動ソフトも出回っているとされる。カード業界の関係者などによると、10年ほど前から被害が確認されているが、具体的な防止策は見つかっていない。